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行動綱領の実施状況を検討評価する

23回国連総会特別総会「女性2000年会議:21世紀に向けた男女平等、開発および平和」開催までの出来事と、さらなる行動

 

「北京行動綱領」とは?

4年前、各国政府は世界中の全女性のために平等・平和・開発の達成を促進することを表明するべく、「北京行動綱領BPFA」を採択した。「北京行動綱領」は1995年に中国・北京で開催された「第4回世界女性会議」の成果である。

「北京行動綱領」は各国政府に、12の重大問題領域を活動の優先事項として取組むよう義務付けた。エンパワーメントという使命に従い、各国政府の同行動綱領への署名者は12の重大問題領域に関わる障害や制限の克服に取り組むことになっている。

  1. 女性と貧困
  2. 女性の教育と研修
  3. 女性と健康
  4. 女性への暴力
  5. 女性と武力紛争
  6. 女性と経済
  7. 権力と意思決定における女性
  8. 女性の地位向上のための制度的機構
  9. 女性の人権
  10. 女性とメディア
  11. 女性と環境
  12. 女児

 

 

Part 1: イントロダクションと経過

「北京行動綱領(BPFA)」が採択されて5年後、各国政府は同行動綱領がどのように実施されているかを評価するため、国連総会の特別総会に参加した。この会議は正式には「女性2000年会議:21世紀に向けた男女平等、開発および平和」と呼ばれ、「北京プラス5レビュー」という名称でも知られている。

同特別総会は国連総会により招集され、米ニューヨークの国連本部で2000年の65日から9日の間、開催された。会議事項として、1985年に採択された「女性の地位向上のためのナイロビ将来戦略(NFLS)」の実施状況の検討評価作業も含まれていた。

同特別総会召集の主な目的は、世界の女性のため平等・平和・開発の達成を宣言した二大文書である「北京行動綱領」および「女性の地位向上のためのナイロビ将来戦略」の完全実施を促すことであった。国連総会で確認されたとおり、今回初めての5年目実施状況評価を受ける「北京行動綱領」は、交渉不可で、かつ変更もされるlことはない。

「女性の地位向上のためのナイロビ将来戦略」は、1985年にケニヤのナイロビで開催された「第3回世界女性会議」で採択された。5年後の1990年、国連女性の地位委員会(CSW)は同将来戦略の実施状況評価を行い、その進度の遅さを指摘した。そして国連経済社会理事会(ECOSOC)と共に、1995年に同将来戦略の実施状況について再度評価を行うよう勧告した。かくして1995年、中国・北京で「第4回世界女性会議」が召集された。 (出典:BFA primer, Isis International Manila, 1999)

指導的文書として、「北京行動綱領」は各国政府に対し、法の改革と政策変更を達成するための政治的実行、能力開発プログラムの支援・実施、監視と実施義務のための機関の設置、セクター間の協力関係の確立、差別に苦しむ女性を支援するプログラムの創設を求めた。     

 

各国政府が世界・地域・国内組織から監視されるのは上記の点についてである。また評価プロ

国連女性の地位委員会

国連婦人の地位委員会(CSW)1946621日の委員会決議11(II)により、国連経済社会理事会の機能委員会として設立された。その目的は、経済社会理事会に対し 政治、経済、市民、社会、教育の分野における女性の権利促進について勧告、報告を行うことである。CSWはまた、女性の権利の分野で直ちに注目されなければならない差し迫った問題について、経済社会理事会に勧告を行う。CSWの目標は、男女平等の原則の実施を促すことである。CSWの権限は1987年、経済社会理事会の決議1987/22により拡大された。第4回世界女性会議を受け、総会は同会議のフォローアップをCSW作業プログラムに織り込むよう、CSWに委任した。第4回世界女性会議において、CSWは触媒の役割を持ち、「北京行動綱領」の12の重大問題領域について定期的に評価を行わなければならない。

CSW15名のメンバーで始まり、現在では経済社会理事会で4年に1回選出される45名によって構成されている。メンバーは各国政府に任命される。またアフリカから13名、アジアから11名、東欧から4名、ラテンアメリカおよびカリブ海地域から9名、西欧その他から8名が選出されることになっている。CSW通常年に1度、8日間の会合を開く。

CSW事務局は以下のメンバーによって構成される:

Mrs. Dubravka Šimonovic (クロアチア), CSW委員長
Mrs. Kirsten Geelan (
デンマーク), CSW委員長
Ms. Atsuko Nishimura (
日本), CSW委員長
Ms. Loreto Leyton (
チリ), CSW委員長
Mr. Mankeur Ndiaye (
セネガル), CSW委員長

国連女性の地位向上部ホームページより http://www.un.org/womenwatch/daw/csw/index.html#functions

セスには最良の実践例、障害や制約、将来ビジョン、新たなトレンドに関する査定作業が含まれる。評価基準は国連女性の地位向上部、および同女性の地位委員会によって設定される。

 

国連女性の地位向上部は評価作業の事務局という立場から、参加国に対し、12の重大問題領域で1995年以降どのような進歩が見られたかについて、国内行動計画という形での文書の提出を求めた。またその他の文書として、カントリー・レポートや、12の重大問題領域に関する活動に焦点を当てた質問項目への回答の提出が求められた。これらの報告資料は整理、評価ののち「女性2000年会議」で発表された。

本文書は「北京プラス5」における評価作業について、時系列にまとめたものである。また、特にアジア太平洋地域の団体のため、1995年以降の活動継続の一助となるよう意図されている。

準備会議:成果文書の起草

評価作業は国連総会が管理するため、国連女性の地位委員会が準備委員会として任命された。同委員会は当時、以下のメンバーで構成されていた:Bhattacharjee (インド), Patricia Flor (ドイツ), Misako Kaji (日本), Christine Kapalata (タンザニア連合共和国), Sonia R. Leonce-Carryl (セントルシア), Monica Martinez (エクアドル), Kristen Mlacak (カナダ), Rasa Ostrauskaite (リトアニア) and Dubravka Simonovic (クロアチア)

女性の地位委員会による公式・非公式の準備会議は1998年から始まった。2回目の準備委員会は199932日から9日まで開催された第43回女性の地位委員会で行われ、特別総会の準備について話し合われた。また当時、女性の地位委員会は「北京行動綱領」のセクションC(女性と健康)およびH(女性の地位向上のための制度的機構)について監視を継続していた。その他のセクションについては、前年までに評価作業が完了していた。

199912月、いくつかの非公式会議が参加国と準備委員会の間で開かれ、成果文書の構成について話し合われた。そして、イントロダクション、成果、障害、障害を克服するための行動とイニシアティブという4つのパートで構成されることが決まった。また成果文書には参加国による政治宣言が付随することも決まった。.

準備委員会が個々のカントリーレポートを読み進むにつれ、参加国で「北京行動綱領」の実施が進んでいないことが明らかになった。ジェンダーの平等やヘルスケア、意志決定といった分野では目覚しい進歩があった一方で、暴力と貧困という2つの要因が今もって「北京行動綱領」の完全実施を阻んでいた。とはいえ、新たに出現した障害の存在はこの時点で明らかになった。

準備委員会は成果文書の起草作業を、2つのグループに分けて行った。Kirsten Mlacakが率いるワーキンググループIがセクション1から3を担当し、Asith K. Bhattacharjee 率いるワーキンググループIIはセクション4に集中した。

政治宣言の文章は2000年の3月末に完成した。一方、65日に特別総会が始まる頃になっても成果文書の多くのパラグラフはカッコつきの文章のままで、これらが未だ議論の最中で、交渉中の段階にあることを示していた。

また準備委員会は、NGOの特別総会への参加を確約することを決定した。NGOは、国連経済社会理事会での協議資格の有無や1995年の「第4回世界女性会議」参加時の認証の有無に関係なく、参加を認められることとなった。

政府間レベルでは地域会議が開催された。ここでは、それぞれが「北京行動綱領」実施にあたっての行動要件や障害、新たな問題について確認した。各会合はそれぞれの地域を団結させた。また、そこでなされた決議は、女性の地位委員会にも提出された。

·         1999102629日 「アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)」がタイのバンコクで開催され、「北京行動綱領」のさらなる実施にむけた49の戦略と勧告を確認した。

·         1999112226日 「国連アフリカ経済委員会(ECA)」はエチオピアのアジスアベバで、同参加国が「北京行動綱領」および「ダカール行動綱領」の実施に向けての取り組みを再確認する「宣言」を行った。

·         1999121215日 レバノンのベイルートで、「西アジア経済社会委員会(ESCWA)」は新たな千年紀に向けた域内での男女平等を模索する論文を発行した。

·         200011921日 「欧州経済委員会(ECE)」がスイスのジュネーブで開催され、行動綱領[MT1] の完全実施のためのさらなる行動を提案した。

·         20002810日 「中南米カリブ経済委員会(ECLAC)」がペルーで開催され、「リマ合意」を採択した。これは199910月の「ポートオブスペイン宣言」を踏まえ、「北京行動綱領」の実施に向けた取り組みを再確認するものである。「リマ合意」は25の行動について概説し、3つの決議を採択している

アジア太平洋のNGO

各地域会議において、NGOは自国の政府代表と交流をもつ機会に恵まれた。そして政府が自分たちの働きを再確認し、いかなる行動計画をも後退させないことを約するよう、広く活動を展開した。NGOはまた、カントリー・レポートの起草に際し政府の相談にのったり、自分たちが作成したオルタナティブ・レポートを公式のカントリー・レポートに加えて、女性の地位向上部に提出したりした。

アジア太平洋における評価作業は、同作業のプロセスに関する情報を国家レベルから地域レベルへと伝達するためのネットワークを作り上げた。また会議やワークショップが開催され、作業プロセスの各局面に関する冊子が発行された。各地に散在している女性たちを組織することの困難は、遍在的な手段を用いることにより克服された。1999年以前は、ほとんど全員がファックスと電話で連絡を取り合っていたが、その後は主に電子メールで連絡しあっている。電子メールのメーリングリストである「Apwomen2000」は、特に評価作業のためにISISInternational(アイシス・インターナショナル)が始めたもので、これにより同地域の多くの参加者が自分たちの活動について仲間の組織とコミュニケーションを交わしている。

「アジア太平洋女性監視機構(APWW)」の結成

1995年の「第4回世界女性会議」後、アジア太平洋の女性たちは、同地域における「北京行動綱領」の実施状況を監視し続けることが必要であると感じた。「アジア太平洋監視機構(APW)」は「第4回世界女性会議」の期間中も活動しており、北京で形成されたネットワークを維持する目的で1996年と97年に会議を開いている。

しかし第41回国連女性の地位委員会で、参加中のNGOは「アジア・コーカス」を結成、2000年の評価作業の準備に向けた協調体制を立案した。アイシス・インターナショナルは「アジア・コーカス」を召集し、「アジア太平洋監視機構」との連合体制を結成した。これは「アジア・パートナーズ」として知られている。翌年1998年の女性の地位委員会で「コーカス」は編制チームを創設、地域の代表とロビー活動に焦点を定めた。

「アジア・コーカス」の活動として、アイシス・インターナショナルは[MT2] アジア太平洋女性・法律・発展フォー ラム(APWLD」と共に、1998年ネパールのカトマンズにてロビー活動訓練のワークショップを開催した。アジア太平洋の全域から集まった30名の女性が、国連文書を交渉する訓練を受けた。これは評価作業を理解し、また進めていく上で重要な訓練である。

「アジア・コーカス」のメンバーは、1999年第43回国連女性の地位委員会に出席した。この間、「アジア・コーカス」の協力団体が創設された。構成メンバー団体は「アジア太平洋女性・法律・発展フォー ラム(APWLD」、「アジア太平洋監視機構(APW)」、 「東南アジア監視組織(SEAWatch)」、 アイシス・インターナショナルである。「アジア・コーカス」は拡大し、太平洋地域のNGOを包含するようになった。

アジア太平洋のNGO19996月に再び会合を開いた。この際、アジア太平洋NGOのための地域シンポジウムが企画された。「アジア太平洋開発センター・ジェンダーと開発プログラム(GAD-APDC」と「タイ女性監視機構」[MT3] の召集により、このシンポジウムはマレーシアのペナンで開催された。

「アジア太平洋地域NGOシンポジウム」[MT4] は引き続き、1999831日から94日までタイ・Nakornpathom Kasetsart 大学で開催された。「アジア太平洋の女性2000年:21世紀に向けた男女平等、開発、平和」というテーマで、アジア太平洋全域の28カ国385名の女性が集い、「北京行動綱領」実施の現状に関してNGOの共通見解を定めた。このシンポジウムは大変な盛り上がりを見せた。「北京行動綱領」の各セクションについてワークショップが開催されたが、ここではアイシス・インターナショナルと「アジア女性情報交流(AWORC)」が各ワークショップ間の意思疎通を助け、インターネットによる後方支援を行った。ワークショップを通じて、参加者は各々の政府に対しロビー活動を行い、同ワークショップでNGOが決定した事項を国連アジア太平洋経済社会委員会と特別総会に提出するレポートの中に盛り込むよう求めた。

重要な文書が同シンポジウムの期間中に作成された。これは「Voices 2000」あるいは「大きな青本(Big Blue Book)」として知られている。この文書中にまとめられた懸念や戦略は、NGOに各々の政府に対するロビー活動を指南するべく書かれたものである(この文書の簡略版は「小さな青本(Little Blue Book)」と呼ばれている)。「大きな青本」は、特に12の重大問題領域に携わるワーキンググループのスタンスについてまとめており、国連総会の特別総会におけるロビー活動の基礎となるであろう地域のスタンスを後押しするものである。

(「大きな青本」「小さな青本」を含む、同会議のレポートおよび文書はホームページに掲載中)

「アジア太平洋女性監視機構」はアジア太平洋の多くのNGOが参画したおかげで、運営委員会を招集することが出来た。これは199912月の国連アジア太平洋経済社会委員会ハイレベル会議と平行して開催された。

評価作業と平行して開催され、アジア太平洋の女性が参加したその他の会議として以下が挙げ

アジア女性情報交流(AWORC)はインターネットを利用した女性のための情報サービスで、アジアのネットワークである。女性のエンパワーメントのための新しい情報伝達技術(ICT)に触れ、これをますます利用していくための協力体制を作っていくイニシアチブである。

アジア女性情報交流は199842023日にイシス・インターナショナル・マニラが開催したワークショップで、アジア地域の女性情報センター間の電子情報共有およびネットワーク戦略の立案のために結成された。これは、アジアにおける女性運動を強化するエンパワーメントの情報や情報伝達モデルの開発に向けた努力の成果の一端である。

 

られる:フィジー・スバでの「調停者太平洋会議[MT5] 」(the Bridgebuilders Pacific Meeting) (199972125日)、ネパール・カトマンズでの「南アジア会議[MT6] 」(the South Asia Conference (199981115)、韓国・ソウルでの「北京プラス5レビューに向けた東アジア準備会議[MT7] 」(the East Asian Preparatory Meeting for the Beijing+5 review (199981718)、「アフリカ・ウェブサイト作成ワークショップ[MT8] the African Web Site Building Workshop in Africa (19999)、韓国・ソウルでの「世界女性電子ネットワーク研修[MT9] 」( the Global Women’s Electronic Network Training (September 27- October 2, 1999927日〜102)

アジア太平洋女性監視機構はもう一つ、ロビー活動訓練のワークショップを開催している。これは、まもなく開催予定の第44回国連女性の地位委員会と国連総会特別総会に向けた準備のためだった。ネパールで200012829日に開かれた同ワークショップで、参加者は評価作業で議論される文書に目を通した。また国連のpolitical groupingsの概要や文書起草の方法、そして特別総会でNGOの存在感を一層高めるためのロビー活動戦略について学んだ。

政府の参加

国連女性の地位向上部は、20006月までに146のレポートを収集できると報告したが、これは参加国総数188には満たない数字だった。とはいえ、提出されたレポートには、1995年以降実施された多くの最良の実践例が報告されていた。カントリー・レポートの全文はWomenAction のホームページで、またアジア太平洋地域の国々については「国連アジア太平洋経済社会委員会-Women in Development」のホームページにて閲覧が可能である。

3回準備委員会の期間中、国連女性の地位委員会は既に165カ国が女性差別撤廃条約に調印したと発表した。加えて、新たに2カ国が付随書を批准した。付随書は、女性の権利侵害があった場合、個人や団体が国連に対し直接報告することを認めるものである。

透明度の高いプロセス:NGOの参加

「北京行動綱領」は政府の公式見解だけでなく、さらに重要な全世界の数千もの女性団体やNGOの見解を反映している。同様に、2000年の評価作業プロセスはこれら女性団体の参加を必要としたのである。彼女たちは各々の政府のコンサルタントとして、オルタナティブ・レポートの作成者として、国・地域・世界的レベルでの評価作業の参加者として、また他のNGOの参加を促す情報・支援ネットワークとして活躍した。

本特別総会の議事進行は、世界中の市民団体の関心を集めた。2052名の参加者が代表する1038NGOがニューヨークに集結し、サイド・イベントに参加したり、成果文書の協議を行いつつ各々の政府代表者に対しロビー活動を続けたりした。NGOには総会に直接訴えかける時間はほとんどなかったが、各国の使節や仲間のロビイストに会ったり、本会議のセッションを見学する機会は豊富に与えられた。

「国連経済社会理事会の協議資格を有するNGOの連合(CONGO)」は、議事に参加するNGO代表者のための「北京プラス5ホスト委員会[MT10] 」に対する後方支援の役割を担った。

評価作業の間、NGOの会議は事務局が主催した。「女性の連携コーカス[MT11] a Women’s Linkage Caucus)」は65日から9日までの毎日夕方に、国連ビルの第4会議室で開催された。またその終了後に地域コーカスが開催された。国連ビルでの会議に参加できないNGOに対してはバッテリーパーク・シティのUSカスタムズハウスが開放され、本会議のライブ放送が行われた。議事進行はインターネット上でも放送された。

NGOや代表団の一部は、ホスト委員会が主催する祝賀イベントにも参加した。また「ジェンダーに基づく暴力を終わらせるための男性の役割」「ジェンダーに配慮した市民生活に向けた、NGOと政府間の対話」「ジェンダーの視点を平和維持活動に取り入れる」といったテーマのパネルディスカッションは盛況のうちに行われた。

NGOの評価作業への参加で最も重要なのは、「アド・ホック全体会合」へのものである。同会合はNGOや国連機関の代表者を参加させるために国連総会が創設しNGOはたゆむことなく、個々の関心領域に関するロビー活動を行った。政府の代表者に会ってはレポートを手渡し、また関心領域がらみのコーカスに参加し、その過程についての自分たちの見地をメディアに対し発表した。

成果文書:交渉と障害

評価作業の期間中、文書のワーディングをめぐる交渉は3つの公式会議といくつかの非公式会議においてなされた。この作業は成果文書の起草に携わった2つのワーキンググループが行っていた。代表団はそれぞれの政治合意に基づき、大まかな地域別グループで作業を行おうとした。そのため交渉グループはG-77と中国、欧州連合、JUSCANZ(日本、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)のそれぞれから形成された。非公式会議では、G-77からより小さなグループが形成されたり、またCARICOM(カリブ共同体)、SLAC[MT12] ラテンアメリカ諸国、SADC(南部アフリカ開発共同体)なども活発に交渉を行うようになった。

世界中から集まった市民団体は、未だ原理主義者に反対されている1995年の決議を守り抜くため賢明に活動した。評価作業が遅々として進まない中、あるカトリックの団体が主催するメーリングリストでは、セクシュアリティと中絶の問題についての進展の遅さは、「ラディカル・フェミニスト」の敗北と「プロ・ライフ」グループの勝利を意味する、との発言があった。

69日時点では、成果文書の多くの部分が未だ論争中であった。ワーキンググループはセッションを夜通し行い、ワーディングに関する交渉を続け、いくつかの点では妥協もした。それでも610日、「アド・ホック全体会合」[MT13] は政治宣言と成果文書の案を本会議に提出することが出来た。

特別総会閉幕にあたって採択された政治宣言は、188参加国の「北京行動綱領」実施に向けた取り組みを再確認するものだ。これは評価作業全体の中で重要なポイントである。なぜなら、女性の福祉拡大のための努力を重ねていく上で、「北京行動綱領」が評価の基準であり続けることを意味するからである。政府はまた、12の重大問題領域に関する取り組みを実施するにあたり、政府が主たる責任を負っていることを確認し、同時にこの全世界的な活動における非政府組織による貢献の大きさを認識した。政府は「北京行動綱領」の実施状況を定期的に査定し、将来の評価作業に備えることを約した。

成果文書は12の問題領域に関連して実施された取り組みを検証し、続いて将来必要な取り組みについて述べている。各問題領域に関する章では政府が行うべき取り組みを検証し、それぞれに立ちはだかる障害を特定している。同時に、将来の取り組みに関する章では199の具体的な目標が設定されている。

成果文書が一体何を達成したのかについては、意見の対立が見られる。成果文書は「北京行動綱領」を再確認しているが、必要な取り組みについてより強い言葉で表現していないと考える人々もいる。

成果文書は政府が注力すべき特定領域を明らかにしている:「教育、社会福祉と健康(性と生殖に関する健康を含む)、HIV/AIDSの流行、女性と少女に対する暴力、女性にのしかかり続け増え続ける貧困という負荷、搾取・人身売買といった被害を受けやすい女性移住労働者、自然災害と環境管理、女性の地位向上を促す強力かつ効果的で利用可能な国家機関の開発、男女が調和し仕事と家庭の責任を平等に分担することを可能にする戦略の策定」。

これらの問題については本会議で熱く議論が交わされた。バチカン寄りの立場の人々やイスラム教国と、開発途上国とが、性と生殖に関する権利の定義をめぐって論争した。またカナダ代表は女性に対する暴力に関連して、人権の定義が曖昧であると指摘した。

さらに、成果について列挙したパラグラフが明らかに示しているのは、女性対象のプログラムに対する支援の遅さ、あるいは根強く残る暴力の脅威といった障害が残っている限り、十分な対策を取ることが出来ないということだ。

やり残していること: 国連、参加国政府、地域団体は次の15年の間に明確な目標を果たすよう再度要求された。エンパワーメントを実現する上で必要であるとして、特に教育が強調された。199の取るべき行動がリストアップされているが、その中には、初等・中等教育における性差を2005年までに最小化すること、男女を問わず全ての子供に対する無償の義務教育を2015年までに実現すること、成人の識字率を2015年までに50%向上させること、法改革を通じて非差別的かつジェンダーに配慮した法的環境を確立すること、そして2015年までに質の高いプライマリーヘルスケアを広く利用できるようにすることなどが含まれている。

新たな問題: 「北京行動綱領」を完全実施する上で妨げになると見なされた要因については、早速しかるべき行動が取られた。その要因とは、グローバリゼーション、HIV/AIDSの流行、多くの地域で続く戦争、性産業のため国際的に売買される女性や少女、移住労働者などである。

評価作業を監視していたNGOは、公式の成果文書で表現し切れていないと見なした部分について、自分たちのレポートをグローバル・オルタナティブ・レポートにまとめた。

成果文書の分析の詳細は、本文書のパート2である情報源一覧に掲載のリンクから閲覧できる。

 

評価作業後: 決意とアジア太平洋地域におけるさらなる行動

6月の会議後、地域団体は個々の戦略立案のための会議を開催した。

「東南アジアジェンダー平等プログラム(SEAGEP-CIDA)[MT14] は「アジア太平洋開発センター・ジェンダーと開発プログラム(GAD-APDC[MT15] 」と合同で、評価作業後の地域戦略評価のため地域団体と会合を開いた。会合に招かれたのは「東南アジア監視組織(SEAWatch)」、AWRAW-AP、「[MT16] [MT17] アジア太平洋女性情報研究センター(ARROW)」、APY[MT18] アジア太平洋女性・法律・発展フォー ラム(APWLD」「アジア太平洋女性監視機構(APWW)」である。各団体は評価作業監視の際の成果や、アジア太平洋地域でNGOの努力を結実させるための将来行動計画や勧告について発表した。この会合はマレーシア・クアラルンプールの「アジア太平洋開発センター[MT19] 」の施設で開催された。

国連アジア太平洋経済社会委員会は20001130日から121日、タイのバンコクで「成果文書実施に関する専門家グループ会議」[MT20] を開催した。同会議では、アジア太平洋各国における優先事項を明らかにした。同時に勧告、戦略についても明らかにされた。優先事項とはグローバリゼーション、貧困撲滅、女性の経済への参加、女性や少女の人身売買、女性に対する暴力、意志決定における女性、人権、情報と権利、情報伝達技術、HIV/AIDS、平和と紛争解決、女性と環境、である。

同会議は国際的レベルで提起される問題について、地域の連帯を強めることを決議した。また、ジェンダーへの関心を、国家開発計画など公の政策立案に組み入れる必要性を提言した。またジェンダーを主流化するために、ジェンダー分析のための仕組みが必要であることも訴えた。 参加者は監査のためのより多くの指標や、ハイレベル会議を通じて地域の協調を強めることの必要性を感じた。

アジア太平洋女性監視機構は200112023日、タイのKanchanaburi「変化に向けた連携」[MT21] Linking Hands for Change」を開催した。目的は同監視機構[MT22] の、地域グループとしての有効性を評価することである。参加者は、各団体による継続的監視・評価活動を含む評価作業プロセスにおけるNGOの貢献について、地域レポートおよび小地域レポートを作成した。

この会議で参加者は、アジア太平洋女性監視機構が特別総会の期間中、ロビー活動には成功したが、成果文書の普及や同文書の意図するところを草の根レベルにまで広めるには至らなかったという点で同意した。

この会議では、以下の決議がなされた:

·         アジア太平洋女性監視機構が成果文書の普及に取り掛かることが出来るよう、同機構内に機能的で透明度の高い組織を確立する

·         利用可能と思われる資金源を見極める

·         「北京行動綱領」と成果文書の実施を、WCARや「女性差別撤廃委員会(CEDAW)」といった他の国連機構や会議とリンクさせる方法を確立する

·         アジア太平洋女性監視機構で若者のためのメンタープログラムを導入する。また「北京行動綱領」と成果文書の主たる懸念事項や、実施評価のための戦略と行動、北京プラス10に向けた大小の地域会議に取り組むにあたり、同機構が達成しうる5カ年計画について合意する

 


 [MT1]北京

 [MT2]Isis Int’l for the Asia Causus??

 [MT3]定訳不明

 [MT4]定訳不明

 [MT5]定訳不明

 [MT6]定訳不明

 [MT7]定訳不明

 [MT8]定訳不明

 [MT9]定訳不明

 [MT10]女性2000年会議に参加できないNGOのために「ホスト委員会」が設立されたのではないのか?

 [MT11]定訳不明

 [MT12]不明

 [MT13]どの委員会?

 [MT14]定訳不明

 [MT15]定訳不明

 [MT16]定訳不明

 [MT17]定訳不明

 [MT18]定訳不明

 [MT19]定訳不明

 [MT20]定訳不明

 [MT21]定訳不明

 [MT22]誰のこと?

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